INTERVIEW

2020.08.19

前田晃さん(カメラマン)

「プレッシャーのなか、
未知なる撮影に挑む瞬間」

2020年の春夏コレクションのイメージ撮影を担当してくださったカメラマンの前田晃氏。
D-VECが掲げるコンセプトである「Feel Alive(最高の瞬間を感じる)」をテーマに、お話を伺いました。

Q:前田さんは、2020年のS/Sコレクション、今シーズンのイメージカットを撮影していただきましたが、改めて、この撮影を担当くださることになった経緯を教えてください。
A:隆志くん(スタイリストの熊谷隆志さん)の紹介で、話をいただき担当させてもらったんですが、横須賀の海の近くの岩場でのロケと、黒バックのスタジオと、2つのシチュエーションで30カットほど楽しく撮影させてもらいました。

Q:今回のビジュアルに対し、どのようなイメージを持って、撮影していただけたのでしょうか?
A:ファッションの撮影って、一般的には、ロケハンしてモデルオーディションをして、予め準備を整えて撮影に挑むことが多いですよね?でも、僕は面倒臭がり屋ということもあって、そういった準備をしないで撮影に行くんです。だから、この撮影も当日ロケ地に行ってみて、全部決めた感じです。

Q:当日まで、イメージを固めすぎず撮影に挑むということですね。
A:僕の場合、ロケの撮影のときは大まかな場所だけを決めておいて、ゲリラ的に撮影をおこなうことがほとんどですからね。毎回行きあたりばったりだから、よく注意されたりしますけど(笑)、あんまり決めすぎると、つまらないですからね。今回の撮影も、海で岩場でということで、風が強くて髪が乱れたり、洋服のシルエットが体にペタッとまとわりつくかもしれない。その日の天候によって行ってみないとわからないから、この撮影も、撮影当日現場で方向性を決めました。もともと釣具メーカーがやっているブランドということもあって機能性が高い服でありながら、見た目は街ではえるファッション性が高いアイテムですよね。それを岩場みたいな機能性を想起させる場所で、都会的でお洒落な感じにみせるという、そのギャップを、その日のその場にあわせて撮影した感じです。

Q:ファッション撮影ですが、ドキュメンタリー写真のようなアプローチを取り入れているんですね。
A:そんな大袈裟に考えてなくて。っていうか、何も考えてないくらいです(笑)。もっと軽い感じがいいって思っていて。

Q:どういうことですか?
A:具体的には三脚を立てるとカッチリした印象に撮れるんですが、三脚を使わなかったり。小暮徹さんって大御所のカメラマンがいるんですが、小暮さんみたいに撮れたらなって。いかにも撮ってますって感じじゃなくて、もっと簡単に撮影しているように見えるっていうか。

Q:なるほど。以前小暮さんにお話しを聞いたときは、ラリークラークの写真をみて、こんなに軽く撮れたらなって、おっしゃってました。
A:そういう感じがいいですよね。自分がまだスタジオマンをやっていたときに、ロケアシで小暮さんに呼ばれたことがあって、ビール会社の撮影で山梨県の小淵沢にロケに行ったんですが、女優さんが水着を着て、といった夏のポスター撮影なのに雪が降っちゃって。急遽全員50人くらい泊まりになって次の日に撮影したんですが、そのとき小暮さんは、木漏れ日に見えるじゃないかって雪の中でも撮影をしようとされていて。

Q:現場に行ってみて、その日のその状況でしか撮れないものを、楽しんでおられたんですね。
A:人柄も含めて、そういう感じがいいなって。

Q:前田さんのカメラマンとしてのスタイルを確立したのは、小暮さんとの出会いが大きかったんですね。では、そもそもカメラマンになったきっかけを教えてください。
A:実家が写真館なんですよね。小中学校の卒業アルバム用の撮影をしているような家で、しかも、親戚が中目黒にあったフォボススタジオというのをオープンさせて、それと同時に、名古屋から上京して、スタジオマンになった感じです。

Q:なるべくしてカメラマンになったんですね。
A:いやいや(笑)。実家にいたときは、卒業アルバムのようなものが写真だと思っていたらから、写真が嫌いでしょうがなかったんで、フォボスもすぐに辞めようと思っていたんです、名古屋でめちゃくちゃやっていたから、親がもう出てってくれ、みたいな感じで。スタジオマンになってみると、『popeye』とかの撮影でファッション写真を、はじめて知って、写真ってカッコイイなって思うようになって。それでスタイリストの山本康一郎さんとかと一緒にやっていた師匠のアシスタントになったんです。久保木さんってカメラマンなんですが、先生はピーター・リンドバーグのアシスタントを経て独立した人でした。

Q:まさにエリートコースですね(笑)。
A:いやいや、たまたまアシスタントに受かっただけなんですよ。適当です(笑)。2年間アシスタントをしていたんですが、一回逃げたことがあるんですけど、僕の次に入ったアシスタントが辞めたいって言い出して、また戻されて。

Q:でも、やり遂げて独立されるんですよね?
A:先生と仲が良かったというか、気があったからというのもあると思いますよ。

Q:独立してからは、順調にキャリアを重ねて、今のスタイルを確立されたんですか?
A:25歳で独立して、30歳過ぎくらいまでは、あれもやってみたいこれもやってみたいって。当時はフィルムだったんでネガで撮ったり、ポジで撮ったり、ありましたしね。例えば、スタイリストの方が、スーツを着せて、そのシワをピンセットでひとつずつ作っていき、ワンカットに6時間くらいかかるような、作り込む感じの撮影にも憧れていましたから。その反動もあったかもしれないですが、結局、面倒臭がり屋だから、このスタイルに落ち着いたんですかね? ただ今は全部デジタル撮影だから、撮ったらその場でみえちゃうし、どうなるかわからない、みたいな楽しさはないですよね。昔は、撮影が終わってフィルムを現像所に出して、上がってくるのが、1番楽しみでしたけどね。

Q:なかなかドキドキする撮影がないんですね?
A:それでも、気合が入るのは、すげえ雨が降ったり、天候が崩れたときが1番面白いですね。だいたい晴れの日だったら、それなりに撮れちゃうし、ロケハンとかも大体晴れた日を想定して準備したりしますよね。だから、その悪天候の中でもなんとかするというか、どうなるかわからない感じが楽しいですね。

Q:カメラマンとして、未知なるもの求めて撮影しているときが、最高の瞬間なのですね。
A:プレッシャーがないと面白くないですよね。

Q:そういう悪条件での撮影は、機材の準備は重要ですよね。
A:今のカメラ機材は、雨が降ったぐらいじゃ壊れないですけど、着ているものとかは、重要かもしれないですね。昨日このD-VECのパンツを買ったんですが、ストレッチ素材で柔らかく、ベンチレーションもついていて通気性もあり、しかも高機能素材なのに、麻が入っていて肌触りも良いです。基本、毎日同じ格好をするので、街で着れて、高機能なものを選ぶことが多いのですが、そういう意味でもD-VECが動きやすくて1番良いんじゃないでしょうかね(笑)。

PROFILE 前田晃さん(カメラマン)

1973年生まれ、愛知県出身。
18歳で上京しスタジオマン、アシスタントを経て25歳で独立。
メンズのストリートやモードなどのファッションを中心にしながらも、
コンサバティブなレディースまでを手がけるなど、幅位広いジャンルで活躍中。

https://instagram.com/maedamaeda0305/